動画配信サービスABEMAで「昨年もっとも観られたアニメ」は何だったのでしょうか。総再生数では長年親しまれる国民的作品が首位に立つ一方、1話あたりの平均再生数では新作が圧倒的な強さを見せました。特に注目を集めたのが『薬屋のひとりごと』。データから見えてきた人気傾向を整理します。
総再生数トップは『あたしンち』 “積み重ね型”の強さ

まず、総再生数でトップに立ったのはあたしンち。世代を超えて親しまれてきた日常コメディ作品です。
総再生数は「全話の合計」でカウントされるため、話数が多い作品や長期間視聴されているタイトルが有利になります。『あたしンち』のように、家族で気軽に楽しめる作品は、繰り返し視聴されやすい傾向があります。
特定の話だけでなく、「ながら見」や「作業用BGM的に流す」視聴スタイルにも適しているため、積み重ね型で数字を伸ばしていくタイプと言えるでしょう。
この結果から見えてくるのは、ABEMAにおける“日常的に消費されるアニメ”の存在感です。
1話あたり平均再生数は『薬屋のひとりごと』が独占

一方で、1話あたりの平均再生数でトップを独占したのが、薬屋のひとりごとの第1期・第2期でした。
こちらは「話題作の瞬発力」が強く反映される指標。1話ごとに高い注目を集めている証拠でもあります。
なぜ『薬屋のひとりごと』はここまで支持されたのでしょうか。
大きな理由の一つは、緻密で独特な世界観です。中華風の後宮を舞台に、毒や薬の知識を持つ少女・猫猫(マオマオ)が難事件を解決していく物語は、ミステリーとしての完成度も高いと評価されています。
さらに、主人公・猫猫のキャラクター性も人気の要因。冷静で合理的ながらも人間味のある姿は、多くの視聴者の共感を呼びました。
幅広い層に刺さった“ジャンル横断型”アニメ
『薬屋のひとりごと』の強さは、単なる異世界ファンタジーでは終わらない点にあります。
・ミステリー要素
・宮廷ドラマ的な人間関係
・女性社会のリアルな描写
・恋愛の気配
これらがバランスよく織り込まれ、ジャンルを横断する構造になっています。
原作の完成度の高さもあり、ストーリーに安定感があることも大きいでしょう。視聴者が「次の話も見たい」と思える設計が、平均再生数の高さにつながっていると考えられます。
また、SNSでの考察や感想の拡散も後押ししました。1話ごとに話題が生まれることで、リアルタイム視聴や追いかけ視聴が増え、結果的に1話あたりの再生数が伸びる構図です。

データから見えた“二極化”の傾向
今回の視聴データからは、明確な二極化の傾向が見えます。
・総再生数では、長寿作品や話数の多い定番作品が強い
・1話平均では、新作や話題作が強い
前者は“ストック型人気”、後者は“瞬発型人気”とも言えるでしょう。
ABEMAのような無料視聴枠や一挙配信のあるプラットフォームでは、視聴スタイルが多様化しています。家族で流し見する層もいれば、毎週の更新を楽しみに待つ層もいる。その両方が共存しているのが今の配信市場です。
今後の注目ポイントは?
今後は、話題性のある新作がどこまで“継続視聴”につなげられるかがカギになりそうです。
『薬屋のひとりごと』のように、物語の質とキャラクターの魅力が両立している作品は、瞬発力だけでなく持続力も兼ね備える可能性があります。
一方で、『あたしンち』のような長年愛される作品は、世代交代を経ながら視聴され続ける存在。親世代が見ていた作品を子どもが見る、といった循環も今後の強みになるでしょう。
配信サービスの視聴データは、単なるランキング以上に、視聴者のライフスタイルや価値観の変化を映し出しています。
まとめ:
ABEMAで昨年もっとも観られたアニメは、総再生数では『あたしンち』、1話あたり平均では『薬屋のひとりごと』がトップという結果でした。定番の積み重ね型と話題作の瞬発型、それぞれの強さが際立った一年。今後、どの作品が“両方の強さ”を手に入れるのかにも注目が集まりそうです。